おんなじ気持ち


「ねぇ、葉。もしあたしたちが許婚じゃなかったら
葉はあたしのことちゃんと見てくれてた?」
とりとめのない不安が、毎晩あたしを襲ってくる―――。



今日も眠れない・・・。

そう思ってあたしはベランダに出た。
星でも見たら、少しは気分が晴れるかもしれない。
少し肌寒かったけど、あたしは空を見上げた。



きれい・・・。星なんて何年ぶりに見たかしら・・・。



あたしはしばらく星を見つめていた。
何分ぐらいたっただろう。隣の部屋の窓が開く音がした。

「葉・・・。」
「アンナも眠れないんか?」
「・・・まあ・・・ね。」
「オイラも眠れないんよ。」
「あんたが眠れないなんて、槍でも降るんじゃないかしら。」

あたしの台詞に、葉がかくっとなる。

「アンナー。」
「冗談よ。」

普段と変わらないような会話。ここが真夜中のベランダと
いうことを除いては。



それにしても、どうして葉は眠れないの?
別に明日学校で何かあるってわけでもないし・・・。



「なあ、アンナ。」
葉の言葉に、考えていたあたしはハッとなる。
「なっ、何?」
慌てて返事を返す。すると葉はとんでもないことを
言い出した。



「アンナはオイラのこと・・・どう思ってる?」



あたしは葉の意外な一言に驚いた。
あたしがその質問の返答に困っている間に、葉は言葉を
続けた。



「オイラはアンナにずっとそばにいてほしいと
思ってる。許婚とか関係なしに。」






「オイラ、アンナのこと好きだ。」






葉のその言葉に、あたしの目からは涙がぽろぽろと
こぼれだした。
あたしの不安を消してくれた、一番の言葉だった。
でも、泣いてしまったあたしを見て、葉はすごく慌てた。
「ごっ、ごめん!オイラそんなつもりじゃ・・・。」
「・・・ばか。」
「え?」
「ばかって言ってんのよ。あんたの言葉・・・そっくりそのまま
返すわよ。」
「アンナ・・・。」

あたしは涙でぐしゃぐしゃになってしまったのと、恥ずかしさで
顔をそらした。

「これでオイラも安心して眠れる。アンナ、こっち向いてくれよ。」
「イヤよ。これであたしも安心して眠れるようになったから、
さっさと寝るわ。おやすみ。」
「そんなぁ〜。アンナ〜。」

葉をほってあたしはさっさと部屋へ入った。
でもあたしの顔からは、少し笑みがこぼれた。



葉も・・・、あたしとおんなじ気持ちでいてくれてたんだ・・・。



それからあたしは、不安に襲われることもなく眠ることが
できるようになった。





 作者サマより。

桜 知奈サマ。リニュおめでとうございます〜。
葉アンナです!
実は初カップリング物なんです。
知奈サマの葉アンナみたいに上手に書けて
いないと思いますが、がんばりました〜。

結構初期のころの話です。
いつも強気なアンナ様だけど、不安とか
感じてないのかな〜って。

これからも葉アンナ書いて行きたいです!



秋月愛穂サマより、当サイトリニュ記念としていただきました☆
素敵な作品ありがとうございました。



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