今日は10月9日。

氷帝学園でアイドル的存在の2人、跡部&忍足の真ん中バースディ

黄色い歓声をあげる女子達に跡部と忍足は囲まれていた





真ん中バースディ 忍足SIDE 

          ++ アナタへの贈り物 ++






『きゃーっ!跡部くーん!!』

『忍足くぅーんっ!!』

『お誕生日おめでとう!!』

『これプレゼント!受け取ってーvv』

『2人共素敵ーっ!!』




その歓声と共に差し出される大量のプレゼント

笑顔で受け取る忍足とは正反対に跡部の顔は不機嫌ムードでいっぱいだった…




『なんや景ちゃん…その不機嫌そうな顔は。』

『そー言うお前は楽しそうだな忍足。』

『ほんまにそない思う?』

『あぁ。』

『何を根拠に…』

『だってお前…顔ニヤけてんじゃねぇか。』

『アホ。営業スマイルや!』

『それにしても…明日もこんな騒ぎなのかと思うと…ゾっするな』

『せやなぁ俺らの真ん中バースディってやつは9日と10日…』



忍足がそこまで言うと2人は顔を見合わせて同時に言った。



『2日間もやってらんねー…』 『2日間もやってられへんわ…』




2人はお互いにしか聞こえない程度の小さな声で会話していた

その女子軍団と中心部のアイドル2人の群れの後ろの方では

呆れた表情を浮かべた少女と今にも泣き出しそうな少女が…




『はー…毎年毎年ウザイよね…』

『…うぅ…侑士ぃ……』

『毎年の事なんだからいい加減慣れなよ!』

『だって自分の彼氏が他の女の子にプレゼント貰ってるんだよ!?』

『だから毎年の事だって…;』

はいいわよ…跡部君。誰からもプレゼント受け取ってないんだから…。』

『あー…景吾はどっちかって言うと…あーゆーのウザがるからね…』

『侑士なんて…なによ。あんなに嬉しそうにさ…』

『あはは…』




あまり気にしてなさそうなとは裏腹に余裕のないであった。

半泣きになりながらもフとに視線をやると…

何かを真剣に見ているの横顔が目に入った。



『ほんと…なんであんな決まりできちゃったんだろ…』



にも聞こえない程の小さな声でが言った。






その“決まり”とは…



【跡部&忍足の誕生日を祝いたい者は9日&10日の真ん中バースディ以外は禁止】

理由はよく解からないのだが…

跡部ファンクラブと忍足ファンクラブが勝手に決めて学園中に広まったらしい。

彼女であっても例外はなく両方のファンクラブ会員にことごとくジャマをされ

は侑士に

誕生日を祝う事ができなかった。

今日こそは!…と気合を入れていたなのだが…

案の定。群がる女子達に先を越され、くやしさの余り怒りがこみ上げてきた

…と。その時。



『…もう許さない。』



急にが口を開いた。



『へ?誰を?』

『自分によ!祝いの言葉くらい言いたいじゃない!!』

『そ…それはそうだけど…』

『ごめん。ちょっと行って来る。』

『ぇ…え!?ちょっ…ちょっと!?』




は跡部の元へと走って行ってしまった。

1人取り残されてしまった

口をポカンと開けながらを目で追った。




は女子の群れに突入し。

跡部と数回会話を交わして、跡部を引っ張り何処かへ消えてしまった。




『うわ…ってば凄い…』




素直に感心する

視線を侑士に向けると…その視線に気付いたらしく侑士がの方を見た。




“あっちゃー…アイツめっちゃ泣きそうな顔してるやん…”

未だに止む事のない黄色い歓声を浴びる中。

を見ながら心の中で呟く忍足。




『跡部くん何処行っちゃったのぉー?』

『忍足君がいるからいいじゃなーいw』

『ちょっと!押さないでよ!!』

『アンタこそ邪魔よ!忍足君から離れなさいよっ!!』




『お前等(おまえら)煩いわ。』




好き勝手な事ばかり言っている女子達に冷たく言い放った。

突然の忍足の発言に驚いた女子達は急に静かになった。

そんな事もお構いなしの忍足は何の苦労もなく女子達の群れから離れ

の方へと足を運んだ。





一部始終見ていただが

侑士から離れた位置にいるため侑士が何を言ったのか…

何故黄色い歓声が一気に止んでしまったのかが解からなかった。

侑士が自分に向かって歩いて来る。

ただそれだけの事なのに妙な緊張感があった。




『行こか。』




の目の前まで来て立ち止まった侑士は

1言だけ告げての手を引いて行った。

無言のまま歩き続ける侑士の横顔を見ていると…いつもと何かが違う気がした。




『侑士?』

『…なんや?』




返事はしてくれたものの歩みを止めない侑士に恐る恐る聞いてみる




『えと…何か機嫌悪い…?』

『………。』

『じゃ…じゃぁ質問変えるね!何処に行くの?』

『俺ん家。』

『へ!?』

『学校は煩すぎやし。』

『確かに…』




そこまで会話すると無言で侑士の家へと歩いた。

暫くして目的地へ到着すると侑士が家のドアを開けさっさと中に入ってしまった。

家の前でボーっと立っているに侑士が玄関から手招きした。




部屋に案内されると同時に思いついたかのように侑士が尋ねた。


『コーヒーでえぇ?』

『あっ…私苦いのダメで;』

『ココアは?』

『それなら大丈夫v』




よかった…と言っているかのように微笑んだ侑士は

ココアを入れる為、キッチンへと姿を消した

『適当に座っとき。』と一言残して




1人部屋に残されたはため息をつき両腕を上に伸ばした。

『んー…っ。』

両腕を下ろし独り言をブツクサといい始めた



『侑士なんで怒ってたんだろう…怒りたいのはコッチだってのに!』

『へぇ…』



独り言に返事が返ってきた事に驚き後ろをバッと見た。



『ゆっ…!?』

『で?何を怒りたいって?』

『どっから聞いてたのよ…』

『どっからて…“侑士なんで怒ってたんだろう”からや。』



言いながら自分のコーヒーとのココアをテーブルに置いた。



『初めからじゃん…;』



はまた溜め息をつく。




『話戻そか?怒りたい理由はなんや?』

『プレゼント…』

『?』

『いくつ受け取ったの?何人のこに笑顔向けたの?』

『…なんや。ヤキモチかいな…』

『そうよ。悪い?』

『自分は何もしてくれんかったクセに…どうせ俺のプレゼンとも…』

『あるわよ!!!!!』



侑士が言い終わらないうちにが叫んだ



『誕生日当日からずっと持ってたんだから…』

『………』

『渡したくても邪魔が入るんだもん…』

『………』

『今日こそはって思ったけど…他のコ達からプレゼント受け取ってたし…』

『………』

『聞いてるの!?』

『…聞いてる。』

『…なら…いいけど…』




そこまで言って2人とも黙ってしまった。

テーブルの上にあるココアへと視線を移す




『なぁ。』



沈黙を破ったのは侑士だった。

侑士の呼びかけに視線を向ける



『今も持ってんの?』

『当たり前でしょ…。』




は鞄からゴソゴソと1つの箱を取り出した。

その箱は綺麗な包装紙に包まれてリボンが結ばれている。

はそれを侑士に差し出した。

「どうも…」と言いながら受け取る侑士。




『ごめんな…』

『もういいよ…』

『明日…貰ったプレゼント返しに行ってくるわ。』

『え!?凄い量なのに!?!?』

『俺が欲しいんはからのプレゼントだけやから…』

『ってゆーかその…大量のプレゼント…何処にあるの…?』

『あ。…あの時置いてきてもーた…』

『あの時?』

『煩い群れから出てくる時や。』

『あちゃー…』

『でもこれで返す手間省けるやん?』



2人は視線を合わし同時に笑った




…』

『ん?』

『この世で1番愛してる…』

『バーカ。』

『なっ!?』

『そんなの知ってるもん。』




が微笑みながら言うと

侑士も微笑んだ




『今年は無理やったけど来年はラブラブ誕生日過ごそな?』

『そうだねv』

『覚悟と体力作りしときや?』

『えっ!?』




ニヤニヤと不適な笑みを浮かべる侑士と

真っ赤になっている






来年の贈り物は私自身になりそうです。






happy birthday dear YUSHI…



++++++++++忍足&跡部の誕生日祝い小説〜♪++++++++++


コノタビは忍足SIDEをお持ち帰りして下さって有難う御座います!

こりゃまた痛々しいお話になりましたね…;

書いてる本人でさえ『これハッピーエンドになるのか?』と思ってました;

最後に忍足サンがセクハラ発言を…(笑)

忍足ファンの夢見る乙女に満足して頂ければこれ幸いで御座います。。

跡部SIDEの方も宜しければ読んでやって下さいませ^^

それでは…ここまで読んで下さって有り難う御座いました。



Sweet.D 羽月まい






羽月まいサマのサイトでフリー配布されていたので、厚かましくも戴いてきました///
まいちゃん、素敵ドリで夢を見させて頂いてありがとうございましたv



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